マーケティングに携わる人であれば、一度は「ファネル」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。より良い商品をより多くの人に伝えていくためには、しっかりとこのファネルを意識して、いかに効果的なな施策を打てるかが重要になります。

そこで今回は、ファネルの意味を改めて解説するとともに、その分析の方法についてもご紹介していきます。

ファネルとは?

ファネルは、日本語でいうと「漏斗」のことで、逆三角形、すり鉢状の形をした器具のことを指します。これを消費者の購入までの意識遷移に当てはめ図式化したものが、マーケティング業界でいうところの「ファネル」なのです。消費者の意識が購入に近づけば近づくほどその数は少なくなっていくため、消費者の購買フェーズとその人数を図式化するとちょうどファネル(漏斗)の形になるのです。

ファネルには、大きく分けて3つの考え方があります。それが「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」です。それぞれ詳しく解説していきましょう。

・パーチェスファネル

パーチェスとは英語で「購入・購買」のことを指し、消費行動の流れを図式化したものです。認知→興味・関心→比較・検討→購入・申込という段階を経るに従って、だんだん少数に絞り込まれていく様子が、逆三角形の漏斗のような形になることを表しています。

パーチェスファネルは、購買に至るまでの心理プロセスの変化を示した略語、AIDMA(アイドマ)モデルを発展させて生まれた考え方です。マーケティングの世界でファネルというと、まずはこのパーチェスファネルを指すことが多いでしょう。

パーチェスファネルのイメージ図

・インフルエンスファネル

パーチェスファネルとは逆に、消費者が購入した後の行動を図式化したものがこのインフルエンスファネルです。

インターネットやSNSの普及に伴い、だれでも気軽に情報を発信できるようになったことにより、実際に消費者が購入した商品・

サービスのレビューなどが多く集まるようになりました。その結果、購入後の消費者が自ら商品の広告塔となりえるようになったのです。

とくにBtoCの業界では、消費者の口コミやレビューが多く集まりやすく、企業の広告などよりも大きな影響を与えやすくなっているため、「消費者にどのようなイメージを持ってもらいたいか」「周りの人に対してどのように紹介してもらえるか」を検討する際に利用する概念です。

インフルエンスファネルのイメージ図

・ダブルファネル

これまでご紹介したパーチェスファネル・インフルエンスファネルを組み合わせ、より大きな効果を生み出そうとする考え方です。

インターネット上にレビューなどが多く登場するようになった結果、消費者が購入を検討する際に参照する情報として、口コミやレビューも入るようになりました。その結果、SNSでの発信や友人・知人への紹介を通して、商品の認知拡大や検討の後押しができるようになるという考え方も広まっていったのです。

ダブルファネルのイメージ図

ファネル分析を活用しよう

ファネルの意味が理解できたら、今度はそれを分析し、効果的な施策を打っていくことが大切です。ここからは具体例を出しながら、ファネル分析の方法を解説していきましょう。皆さんも一度は利用したことがあるネットショッピングの世界をイメージしてみてください。

まずはファネルを段階的に分けていきます。ネットショッピングであれば、「商品一覧」「商品詳細」「カートに入れる」「購入」などが一般的な段階になるでしょう。

その上で、それぞれの段階に進んだ人の数字を集計していきます。

商品一覧を100として、商品詳細が80、カートに入れるが20、購入が10だったとしましょう。

これを見れば、商品詳細を見ながらも購入意欲を持たなかったユーザーが多いということや、

カートに入れたにも関わらず購入しなかった人が5割もいるということが分かります。

funnel_4.PNG

それが分かれば、「もっと商品詳細の情報を魅力的にしよう」「購入まで行きやすいボタン配置にしよう」という戦略が立てられるようになるわけです。

また、そもそもの商品一覧100という数字が少ないと感じるのであれば、「より認知量を増やしていくための施策を打つ必要がある」とも考えることができます。

このように、ファネル分析をすることによって、ゴールとなるアクションに至るまでの課題が明確になり、

それに対応した施策を打つこともできるようになります。結果としてゴールに至るまでの人数を増やし、商品やサービスの売上を向上できるというわけです。

ファネル分析こそマーケターの仕事の醍醐味

ただ闇雲に広告を増やしたり、商品の魅力を長々と語ったりしたからと言って、それ相応の結果が出るものではありません。場合によっては実は何の効果もないものに、一生懸命コストやマンパワーを掛けてしまう、ということもあるでしょう。

しかし、しっかりとファネルを分析していけば、どの段階の消費者に対し、どのような施策を打つべきかが明確になります。さらに、各段階の消費者の心理の移り変わりにまで注目度を広げていけば、ターゲットとすべき人の特性も具体的になり、例えば広告配信時の訴求先をさらに絞っていくこともできるかもしれません。

ファネルにはコンバージョン後の続きもある

ここまで上から下に向かって数が減り狭まっていく形状のファネルを説明しましたが、現代のマーケティングファネルでは購入や申し込みのコンバージョンの後、さらにファネルが続くと言われています。

それはSNSや口コミサイト、ブログなどを利用した「拡散」です。
ネットとスマホが普及したことで、ユーザーは「これめっちゃいい!」と思った商品を、webを介して積極的に他人に伝えるようになりました。

コンバージョン後のファネル

一人の消費者(ユーザー)が買ったら終わり・・ではなく、購入者がTwitterやFacebookでつぶやきたくなるような、

素敵なパッケージを作ったり、おもしろいオマケをつけたりして拡散を狙ってみてはどうでしょうか。

さいごに

いずれにしても、良い商品をより多くの人に届けるためには、効果的な宣伝・戦略が必要不可欠です。それをつかさどるマーケティング部門においては、このファネル分析が最も重要な仕事であり、また本人の力を最も活かせる仕事とも言えるでしょう。

何をするにも、まずはファネルを意識するクセをつけるのが良いですね。

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